美容室やエステティックサロン、ネイルサロンやまつエクなど「美しくなりたい」という希望をサポートする美容業界。
美容師やエステティシャンといったプロフェッショナルは、技術に加えて「どのように良さを伝えるか」という考え方が重要です。
そのため従来のように人気のメニューを準備するだけでは足りず、来店してもらうための情報発信が必要となります。
また化粧品やヘアケア商品を提供するメーカーも、良い商品を世の中に発売するだけでは現代のマーケティングとしては不十分。
どうすればユーザーが良いと思うか、欲しいと思ってもらえるかをプランニングする必要があります。
そこで今回は美容業界がどんな仕組みなのか、人気のマーケティング手法や媒体、プラットフォームなどを紹介します。
美容業界のマーケット
美容業界は、大きく2つのマーケットが合体しています。
まず1つ目はヘアサロンやエステ、ネイルやまつエクなどさまざまな美容サービスが複合されたマーケットです。
市場規模としては2兆円以上となっており、なかでもヘアサロンがかなりの割合を占めています。
もともと理美容室は髪の毛、エステサロンは肌や体型、ネイルサロンは爪、まつエクサロンはまつ毛と細かく業態によって棲み分けがされていました。
しかし今ではほとんど複合店で、ヘアとエステといったようにセットにしてサービスを提供するお店がほとんどです。
2つ目の美容業界の重要なプレイヤーは、いわゆるBtoC(DtoC)の形を取る化粧品やヘアケア商品のメーカーです。
美容師やエステティシャンといったプロフェッショナルではなく、自らが気に入ったものを手軽に使えるというメリットがあり、TVCMなどマスメディアへの出稿が多く認知度は高いのが特徴です。
ちなみに化粧品業界のマーケットは、約2.6兆円もの規模があります。
ECの発達で商品購入が簡単になり、ユーザーが多くのアイテムを手軽に試せるようになった一方で街の化粧品店への来店数は減少しています。
ユーザーは「プロフェッショナルから情報を得るというパターン」「直接メーカーから情報を得るパターン」の2つの方法で、美容情報を得られるということです。
今ではBtoBとBtoCに垣根はない?
今までは美容師やエステティシャンといったプロフェッショナルが利用するアイテムは、サロン専売品とされてきました。これでは美容室やエステティックサロンといった限られた場所でしか、商品を知ることができません。
つまりBtoBのサロン専売品は、一般ユーザーが普段触れられるBtoCの美容アイテムと切り離して考えられていました。
しかし現在ではBtoBのサロン専売品を提供しているメーカーも、ユーザーに知られることを第一としてプロモーションを行っています。スマホやPCが普及したことで、サロン専売品の情報もSNSから手に入るようになりました。
これでBtoB・BtoCの垣根はほとんどなくなり、ユーザーがサロン専売品を求めて導入している店へ足を運ぶようになります。
そしてもちろん、SNSでの口コミも非常に重要です。
美容師やエステティシャンにおすすめされても、SNSで良い口コミがないと購入しないというユーザーが増えてきています。
つまり現在は、販売している場所は関係なく「SNSで口コミを見て商品を購入する」という流れが一般的。
「商品を認知してもらう」「良い口コミを集める」「どんなメリットがあるかをユーザーに訴求する」というポイントはBtoB・BtoC関係なくプロモーションの重要な要素となっています。
美容業界で人気のマーケティング手法とは
現在、美容業界で人気のマーケティング手法は大きく分けて2つあります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して、商品やサービスに応じたマーケティングを考えてみましょう。
SNSを活用したマーケティング
まずはSNSを活用したマーケティング。
ユーザーは商品購入を口コミで決めたり、情報収集を行ったりするのでSNSで情報を届けられるようにしましょう。
もっとも有効なSNSは、インスタグラムです。
インスタグラムは写真が中心のSNSなので、ビジュアルによる訴求がしやすく、商品の世界観やメリットをより伝えられます。
さまざまな業界でも人気なようにブランディングをイメージのまま伝えられるので、美容業界でも非常に人気のプラットフォームです。
またSNS戦略は、他のプラットフォームと組み合わせると効果が倍増します。
拡散スピードが特徴的なTwitterはインスタグラムと相性がよいでしょう。
インスタグラムとTwitterを組み合わせる方法としては、以下を参考にしてください。
- 商品や新メニューなどの情報をインスタグラムに投稿
- 投稿したインスタグラムのリンクと商品情報をTwitterで投稿
- Twitterでツイートが拡散される
- 拡散された投稿に記載されているリンク先のインスタグラムに遷移
- 実際に使っているイメージや世界観を知る
ここで大切なのは「Twitterで拡散されやすい投稿を考えること」と「インスタグラムのコンテンツの質を高めること」です。
Twitterはリツイートや引用ツイートで拡散するという特徴的なアクションがありますが、共感性の高い投稿でないと拡散はされにくいです。
またTwitterの投稿から興味を持ってくれたユーザーがクリックしてくれるので、期待裏切るような写真では「期待ハズレ」というマイナスの印象を与えてしまうこともあるので注意しましょう。
ほかにも公式LINEやDMといったSNSの機能を活用して、ユーザーとのコミュニケーションを取るのもポイントです。
せっかくユーザーがSNSで情報に自ら触れているのに、ホームページの問い合わせフォームやメールに移動させるのは二度手間ですよね。1度ユーザーを離れさせるのは、スムーズなマーケティングではありません。
SNSで情報発信、コミュニケーション、問い合わせ対応までを完結できるようなユーザー動線を設計しましょう。
動画を活用したマーケティング
最近、美容業界で目立ってきているのが動画を活用したマーケティングです。
主にヘアサロンやエステサロンで実際の施術を受けている風景や技術の説明をしている動画を使って、ユーザーに訴求します。
ランディングページやホームページでは賄いきれない部分を、リッチな表現ができる動画を利用して、ユーザーに実際の体験に近い情報を届けるのです。
美容業界は「きれいになりたい」という実態のない希望を実現する場所なので、ユーザーにとっては「どんな自分になれるかイメージできること」が重要。動画は従来のテキストやバナーでは表現できなかった内容を伝えられるので、ユーザーに未来を想像させやすい方法といえます。
ユーザーが未来の自分を想像しやすいコンテンツを作れるので、サービスや体験を提供する美容業界との相性が良いのが動画を活用したマーケティングです。
これからの美容業界のマーケティングは何をするべき?
これからの美容業界を考えると、先ほど紹介したSNSと動画の2つは欠かせないポイントです。
- SNSで情報拡散や口コミを集める
- ユーザーとのコミュニケーションを行う
- 動画で施術の疑似体験をしてもらう
- ユーザーに「きれいになった自分」を想像させる
- 実際に来店に繋げる
美容業界のマーケティングでは、こういった流れが理想的です。SNSと動画をうまく活用できれば、あとは放置して自動集客化ができるのも嬉しいですよね。
またこれからの美容業界と相性の良いビジネス、相性の良い施策をどう活用するかを考えて、マーケティングに活かしていくことが求められます。
今後のマーケットの展望とは
美容業界は、2021年現在大きい転換期を迎えています。
2020年に起こったコロナ禍で自宅待機が増えたことで、空いた時間で美容へ意識を向ける人が増えました。外出ができないので、ネット通販で購入できる美容アイテムは売れています。
つまりBtoCの化粧品やヘアケアメーカーは、通信販売のプラットフォームを通じてユーザーと直接繋がり、売上を伸ばしているといえます。
対してBtoBのプロフェッショナルアイテムを販売しているメーカーや、直接ユーザーに触れる施術に依存していた美容室やエステサロンは、来店客数の減少によって売上が落ちているのが現状です。
こういった理由から、美容師やエステティシャンは「店で存在感を発揮すれば売れる」という従来の考え方では、売上を伸ばすことが難しくなっています。
SNSや動画を通じて、家での美容習慣を商品とともに提案できたり、セルフでの施術方法を伝えたりといった工夫ができなければユーザーから選ばれない時代となっています。
美容業界のマーケティング戦略のまとめ
美容業界は「美しくなりたいというユーザーの希望を叶える業界」であり、直接ユーザーを美しくする美容師やエステティシャンと、商品を通じて願いを叶える化粧品やヘアケアメーカーといったプレイヤーがいます。
従来であれば美容室やエステティックサロンでしか情報を得られなかったサロン専売品が、SNSの普及でどこからでも情報を得られるようになっています。
さらにユーザーの商品購入の理由にあげられるのは、SNSや口コミ、動画コンテンツの充実です。
つまりこれからの美容業界を考えると、SNSと動画をうまく活用することがマーケティングにとって非常に重要となります。
ユーザーが受ける情報が多い現代だからこそ、その商品からどのようなメリットを受け取れるのかを考え、SNSや動画コンテンツをうまく利用していきましょう。