マーケティング戦略と聞くと、特別な勉強をしなければ、実践できないと感じてしまいませんか?
確かに、専門的な分析をもとに緻密なマーケティングの戦略設計を立てる場合は、それなりの知識が必要です。
しかし、マーケティングを成功させるために、必ずしも複雑な計算式が必要なわけではありません。
今回は、 SNSを活用したマーケティング戦略の基本的な考え方と、気をつけるべき2つのポイント、そして現代の購買行動から考えるSNSの活用についてを解説していきます。
ポイント1:全体の目的を明確にする
マーケティング戦略の第一歩は、大まかな数字でもいいので、利益や予算などを立てた上で目標を明確にすること。
最終的な目標を定めることで、目標に合わせた的確なマーケティング手段を選択できます。
例えば、会社全体の目的が10億円の利益だとしましょう。
この場合、現在の利益が7億なら目標まで足りない3億円を生み出す仕組みを考えるのがマーケティングなんですね。
もし、SNSを強化してフォロワーを増やすというマーケティング戦略を取ったとしても、利益を3億円生み出すことに繋がっていなければ全体の目的にはリンクしていないですよね。
そもそも、マーケティングとは、売上や利益を上げる仕組み作りの手法全般を指します。
マーケティング活動の一例
- 新規顧客を獲得
- 既存顧客の購入頻度の向上
- 休眠顧客の復帰
などの施策やPRではないでしょうか?
しかし、その他にも手法があるのです。
- 物流コストを抑える
- わかりやすい資料やコンテンツ配布で営業の人員削
- SNSなどで広告費をかけずに宣伝
例えば、このような手法もマーケティングに含まれます。
マーケティング戦略では現実的な目標設定を
マーケティング戦略を設計する際には、闇雲に顧客獲得のための手法を計画するのではなく、まずは現実的な目標を定めること。
その目標に向けて、現実的に成果が出せる手法を選ぶこと、そして、顧客確保にみならず、時間や手間の無駄を省き、経費の削減も視野に入れた手法を選ぶべきなのです。
何よりも、シンプルなマーケティング戦略の設計のポイントは、目標を明確にすることだということを、頭に入れておきましょう。
参照元:【コラム】マーケティングとは何か?定義と基礎をわかりやすく!
ポイント2:ファンづくりを意識した長期的な戦略を組み立てる
昔のマーケティングにおいては、テレビやラジオ、街頭などで大型広告を配信する一方的な宣伝だけで、ある程度の顧客を獲得できました。
しかし、インターネットの普及により、スマートフォンやパソコンでも広告を目にするようになり、氾濫する情報の中でユーザーの意識に商品やサービスの内容を記憶させるのが難しくなっているのですね。
情報が氾濫していると、自分に関係がある情報以外は必要ないと考えるユーザーも多く、大々的に広告でPRをしても、認識されにくく、費用対効果が悪化しているケースも増えています。
そんな現代においては、ニーズやターゲットを絞って、必要な人に必要な情報を伝えるのが効果的です。
そこで、活用するのがSNSです。
SNSのマーケティング戦略
SNSなどのコミュニティーで、フォローやいいねなどの機能を活用し、ファンをつけていくことで、シンプルで効果的なマーケティング戦略が実現するのです。
また、広告や営業に関わる経費の削減にも繋がり、ファン化を意識しながら長期的なマーケティング戦略を実施していけます。
そのためには、現代の購買行動モデルを理解する必要があります。
購買行動モデルとは、消費者が商品の購入に至るまでの行動の導線をいくつかのモデルに分けて分類したものです。
参考:【コラム】購買行動モデルとは?種類、特徴を時代変化とともに徹底解説!
ファン化を意識したSNSなどのコミュニティーの活用には、現代の購買行動モデルのパターンを掴むのがポイント。
まずは、現代の購買行動モデルのパターンを理解していきましょう。
購買行動3つのモデル
購買行動モデルの基本!AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品を購入するまでの流れを示した購買行動モデルの基本です。
- Attention(アテンション)
- Interest(インタレスト)
- Desire(デザイア)
- Memory(メモリー)
- Action(アクション)
AIDMA(アイドマ)は、この4つのキーワードの頭文字を取った言葉になっています。
それぞれの言葉の意味を見ていきましょう。
Attention(アテンション)
Attention(アテンション)は、注意や認知を意味する単語。マーケティングでは、CMや広告、店頭などで商品を知る段階を言います。
Interest(インタレスト)
Interest(インタレスト)は、興味や関心を持つこと。まず、広告などでその商品を知ってから、興味を持つステップがInterestです。
Desire(デザイア)
欲求を意味するDesire(デザイア)では、消費者が興味を持った商品が欲しいと思うステップです。
Memory(メモリー)
Memory(メモリー)は記憶を意味し、消費者が商品を覚えるステップを指しています。興味を持った商品を何らかの方法で記憶します。
Action(アクション)
Action(アクション)は、いよいよ購入する段階のこと。
商品の存在を知り、興味を持ってからほしいと思い、まずは記憶して、すぐに買うか、後日買うかなどの行動へと移っていきます。
スマホ時代のAISAS(アイサス)
AISAS(アイサス)は、SNSなどの浸透により、基本的な購買行動モデルのAIDMAに、Search(サーチ)、Share(シェア)の行動が加わった購買行動モデルです。
Attention(アテンション)、Interest(インタレスト)まではAIDMA(アイドマ)と同じですが、その後にSearch(サーチ)が入ります。
さらに、AIDMA(アイドマ)にもあるAction(アクション)の後にShare(シェア)という行動が展開されていきます。
AISAS(アイサス)という言葉は、5つのキーワードの頭文字を取った言葉です。
- Attention(アテンション)
- Interest(インタレスト)
- Search(サーチ)
- Action(アクション)
- Share(シェア)
それぞれの言葉の意味を、順番に見ていきましょう。
Attention(アテンション)
Attention(アテンション)は、テレビやラジオ、インターネット、店頭などで商品の存在を知る段階のこと。注意や認知を示す単語です。
Interest(インタレスト)
Interest(インタレスト)は、興味や関心を意味する言葉で、存在を知った商品に興味を持つステップを指します。
Search(サーチ)
Search(サーチ)は検索を意味する言葉で、このステップは、インターネット特有の行動として知られています。存在を知った商品に興味を持っているからこそ、インターネットで検索をする行動へと移っていきます。
Action(アクション)
Action(アクション)は、行動を意味する言葉で、購買行動モデルにおいては購入の段階を指します。つまり、商品の存在を知って興味を持ち、インターネットで検索した後に情報を集め、購入へと移る流れです。
Share(シェア)
これまでの一般的な購買行動モデルでは、購入がゴールでした。
しかし、インターネットの利用により、SNSやブログなどで購入したものの口コミやレビューを投稿するステップが加わります。
Share(シェア)は、共有を意味する言葉で、口コミやレビューを投稿により共有することで情報を拡散するのです。
ユーザー起点の購買サイクルがULSSAS(ウルサス)
ULSSAS(ウルサス)とは、SNSのユーザの投稿から始まる購買行動モデルです。
- User Generated Contents(ユーザージェネレイトコンテンツ)
- Like(ライク)
- Search1(サーチ1)
- Search2(サーチ2)
- Action(アクション)
- Spread(スプレッド)
ULSSAS(ウルサス)は、これらの6つのキーワードの頭文字から名前が成り立っています。
それぞれの言葉の意味を、順番に解説します。
User Generated Contents(ユーザージェネレイトコンテンツ)
User Generated Contents(ユーザージェネレイトコンテンツ)は、ユーザーが情報を生み出すと言う意味の言葉で、購買行動モデルにおいては、SNSなどでユーザが商品について投稿するステップを指します。
Like(ライク)
Like(ライク)は好印象を意味する言葉。
つまり、SNSなどで登録ユーザーの商品についての投稿を見かけ、「いいね!」「お気に入り」などのポジティブな反応をする段階を意味しています。
Search1(サーチ1)
Search1(サーチ1)は、SNSの中で情報を検索する行動を指します。
Searchは検索を意味する言葉で、SNSの投稿で商品を知った場合、SNS内での商品の評判を調べるためにも、SNS検索を行います。
Search2(サーチ2)
Search2(サーチ2)は、検索行動の2段階目を指し、SNS内での検索の後に、Googleなどのインターネット検索を使用するステップです。
まずは、SNS内での反応を調べたら、好印象を持った場合、一般的なインターネット検索に移る流れです。
インターネット検索においては、SNSだけではわからない公式サイトの情報や口コミサイトなども閲覧できます。
Action(アクション)
Action(アクション)は購入するステップ。SNSやインターネットで情報収集した後に、消費者が商品を購入する流れです。
Spread(スプレッド)
本来なら、購入するところで行動が終わりますが、SNS特有の購買行動モデルでは、購入の後に拡散するステップが加わります。
ULSSASでは、最後に拡散することをSpread(スプレッド)と位置づけています。
Spread(スプレッド)は拡散を意味する言葉で、商品を購入したユーザーがSNSに情報を統合することで、別のユーザーへと情報が拡散していきます。
つまり、SNSでの購買行動モデルでは、消費者自体が広告的な役割を果たしていると言っても過言ではありません。
SNSは最強のマーケティング戦略ツール
テレビや雑誌、ラジオ、街頭広告に加えて、最近では、SNSやWeb広告などのインターネット上のPRも効果的です。
中でも、最強のマーケティング戦略ツールとして注目されているのがSNSです。
SNSと言えば、InstagramやTwitter、Facebookが有名ですね。
まだまだ若い人向けの施策と思われがちなSNSですが、30代~40代でも40%以上がSNSで情報収集することが当たり前になってきています。
例えば、Instagramの利用者の年齢層は、次のようになっています。
参照元:https://find-model.jp/insta-lab/sns-users/#Instagram
このような状況を理解した上で、SNSで情報を得たユーザーをどういう経路で商品の購買や来店、会員登録といった目的のポイントまでつなげるかを考えた上で、戦略を立てるのがポイント。
賢く利用していけば、SNSが最強のマーケティング戦略ツールになるのです。
マーケティング戦略にSNSを利用するメリット
SNSがマーケティング戦略において、最強のツールになるのは、ユーザを購入へとつなげる上でのメリットが多いからです。
メリット1.経費がかからないこと
SNSの投稿でPRをしていれば、広告出稿の費用がかからないため、経費を抑えることができます。
メリット2.ファン化を実現しやすいこと
公式サイトやメルマガでは、持続してつながりを持つのが難しいですが、SNSにはフォロー機能があるため、継続的につながりを持つことができます。
商品購入後も、SNSでつながっていれば、新商品の紹介の投稿やその他の商品のPR、商品にまつわる面白い投稿などを更新することで、継続的に注目を引ける可能性が高いです。
メリット3.拡散が見込めること
多くのユーザに広告を届けるためには、さらに膨大な広告出稿の費用がかかってしまいますが、SNSでのユーザーの拡散があれば、費用をかけずに広告出稿以上の効果的なPRが見込めます。
SNSはユーザーとの関係性の構築がポイント
SNSをマーケティングツールとして使う場合、ファン化を意識した戦略がベストです。
新たなファン(顧客)を獲得し、長期的にファンになってもらうための関係性の構築を考えていくことで、リピート客の確保だけではなく、拡散力により、確実に顧客を獲得していけるのです。
例えば、自社の商品の愛用者がSNSにて、紹介やレビューを投稿してくれたとします。
その愛用者には、SNSユーザーとしてのフォロワーがいるはずですから、投稿内容はフォロワーに届きます。
商品についての投稿を目にしたフォロワーが、新たに顧客になるケースも多く、そこからまたどんどん拡散されていくケースも考えられます。
SNSのフォロワー機能やいいね!機能などによる確実なつながりのもと、拡散によって商品の情報が広く伝わっていくと、さらなるファン獲得も夢ではありません。
また、顧客に対しては、SNSの日々の投稿の中で、商品にまつわるユーザの悩みなどをネタにした内容を更新したり、コメントにてユーザの声を聞いていくことで、より強いつながりを持てます。
SNSをツールとして使用する際の注意点
SNSは、広告費もかからず情報発信ができますが、いくつかの注意点があります。
まず第一に、拡散力があるだけに、悪い評価も広がりやすいので、顧客対応には十分に注意することです。
商品に対しての悪い評価は、正直な評価なので仕方ありませんが、対応に対しての悪い評価は対策の余地がありますね。
丁寧にコメントを返したり、いいねを押すといった地道な活動は必須です。
そして、広告出稿とは違い、確実に表示されるとは限らない点も頭に入れておきましょう。
SNSに投稿したからといって、そのタイミングですべてのフォロワーが投稿を目にするとは限りません。
実際には、他のユーザーの投稿に埋もれてしまって見られないといった可能性もあるんですね。
基本的にはフォロワーの数=情報が届く数ですが、絶対数ではありません。
そのようなことを踏まえて、閲覧数が多い時間帯に投稿するなどの工夫が必要です。
まとめ
マーケティング戦略は、高度な分析や複雑な計算式を利用する場合もありますが、まずは2つのポイントを意識することで構築できます。
まず1つ目のポイントは、全体の目的を達成するためにマーケティングを利用するという意識です。
2つ目のポイントは、ユーザーにファンになってもらうことを意識することです。
この2つ目のポイントを実行するためにSNSを活用します。
商品検索や新規顧客へのアプローチ、コンテンツそのものを一気に叶えるプラットフォームがSNSです。
SNS上でのユーザーとのコミュニケーション、投稿コンテンツの質、リンク先とアカウントの整合性など細かい部分をしっかり仕上げて成果につなげていきましょう。