モノが溢れ、サービスが溢れているこの時代にビジネスで勝つには、勝つための戦略が必要です。
「とりあえずやってみよう」では成果には繋がらないと思いませんか?
今回は勝つための戦略を立てるための「事前準備の大切さ」を、孫子の兵法から学んでいきたいと思います。
孫子の兵法から学ぶ事前準備の重要性
孫氏の兵法、第1章「計編」に出てくる一説を紹介します。
「孫子曰く、兵とは国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。
ここの文章が意味するところは、
「軍事は国家の存亡がかかる国の一大事である。だから徹底して研究し、備えなければならない」
もし今のビジネスに会社の存亡がかかるのであれば、一大事です。それこそ勝つために競合、外的要因、自社の強み、など徹底的に調べるのではないでしょうか?
勝率を上げるための努力をするはずです。
ビジネスは陣取り合戦
事前準備とは競争社会で勝ち抜くための戦略、つまり計画を立てることです。
ビジネスは陣取り合戦です。この陣地が大きくなればビジネスは成長し、陣地が小さくなればビジネスは衰退している、という事です。
ただ「売る」だけでは成功しない!
現代のマーケティングにおいて、ただものを売るだけでは成功することはできません。
なぜなら、すでに多くのモノ、サービス、競合が溢れているからです。
例えばスマホのケース。私はiphoneを使っていますが、ケースの種類だけでも五万とあります。
ひと昔前であればプロダクトアウト、つまりモノを作って売り出せば売れた時代です。
けれど今はそうではありませんね。
基本は「マーケットイン」。
お客様が欲しいものを製品、サービスを開発し、提供していく必要があります。
「売る」ではなく、「どう売るか」?
「何を売るか」も勿論大切ですが、これからの時代は「どう売るか」も大切です。
そして、SNSの台頭によって「誰から買うか」も重要なキーファクターになっています。
このような要素を考えてみるだけでも、何の準備もせずに取り組むのは、負けに行くような事であることが分かりますね。
「察せざるべからざるなり」
とは徹底して備えよう、という意味なのです。
何を準備するべきか?
では具体的に何を準備したらよいのでしょうか?
孫氏の兵法に何を準備するかについても記されています。
ゆえにこれを経るに五事を以ってし、これを校ぶるに計をもってして、その情を索む。
一に曰く道、二に曰く天、三に曰く地、四に曰く将、五に曰く法なり。
上記を要約すると以下の内容になります。
その準備ための次の5つのことを考えなさい。
- 道:正しいあり方
- 天:天候・自然
- 地:地形
- 将:リーダーシップ
- 法:ルール
参考書籍:仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる
ここからはこの5つのポイント、道天地将法(どう・てん・ち・しょう・ほう)について詳しく説明します。
1.目的を明確にする
道とは理念、目的と捉えていいでしょう。
今は進めているビジネス、もしくは始めようとしているビジネスに目的はありますか?
なぜそれをやるのか?
必ず目的を明確にしましょう。なぜならその目的がビジネスの土台となるからです。
何度も繰り返しますが、モノやサービスが溢れている中で、御社が、あなたが選ばれるには理由が必要です。
その1つが理念になるのです。
理念のないビジネスには仲間も賛同者も集まりません。現代は理念・共感の時代と呼ばれています。
御社が選ばれる理由として「道」、つまり理念を明確にすることが大切です。
2.時代の流れを読む
孫氏の兵法の中で、天は天候や自然を意味しています。
ビジネスに置き換えれば、天とは時代の流れ、流行、トレンドという事ではないでしょうか?
2つの軸を持つ
このトレンドを掴むためには2つの軸が必要です。
1つがx軸、自分のスキルです。
もう1つがy軸、つまり世の中のトレンドです。
時代の流れを読み、「自分のスキル」と「トレンド」を掛け合わせていかなければなりません。
例えばウェブマーケティングの観点から考えてみましょう。
ひと昔前であれば検索エンジ対策(SEO)だけで集客できました。ある意味、検索結果で上位表示することさえ出来れば、勝ち組になることができました
しかし、今はSNSも使いこなさないといけないでしょう。
何故なら今までは検索する言葉を示す「ググる」だけでしたが、今は「タグる」とも言われます。
この言葉が意味するところは、検索はグーグルだけでなく、検索がインスタグラムでも広く一般に行われている、ということです。
古い価値観や自分の枠に囚われていると、天、つまりトレンドが読めず、自分のスキルだけに生きてしまい、勝つことは難しくなるでしょう。
3.市場と競合を調査する
地は地形と訳されますが、ビジネスに置き換えれば、市場・マーケット、競合というジャンルと考えられます。
これから取り組むサービスに市場はあるか?
どのぐらいに市場規模があるのか知っておくべきです。
100億の市場か、1000億の市場か、1兆の市場か?1万人のマーケットか100万のマーケットか?
あなたはどのぐらいの市場規模があるか知っていますか?
大きなマーケットであればライバルも多いけれど、チャンスも多いです。
ニッチな市場であれば、マーケットは小さくともチャンスはあるはずです。
大切な事はどういう攻め方をするかです。
マーケットに対して自社がどうアプローチするかをしっかりと考えておかなければいけません。
競合を分析する
十分なマーケットがあって競合がいないことがベストです。
しかし、モノもサービスも溢れている時代に、そういう状況は現実的にはあまりないでしょう。
そのため、競合分析はしなければなりません。
競合について調べることは
- サービスの内容
- サービスの特徴
- サービスの価格帯
その上で、新たな課題の解決策を提示できるか、が重要です。
例えば当社のウェブ広告サービスの場合、
ウェブ広告を運用するだけでなく、
- セールスファネルの設計
- HP /LPサイトの分析
- 最新のマーケティング事例
- KPIの分析
など、様々な付加価値を提供しています。考え方はお客様に必要とする価値を提供できるかです。
ステーブジョブの言葉にこんな言葉があります。
美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?? そう思った時点で君の負けだ
価格を下げるのはまさに15本贈る事だと私は考えます。
競合を知り、競合が提供していない価値を提供することが重要です。
4.リーダーシップを発揮する
将は将軍のこと。つまりリーダーシップです。
これから取り組む仕事のその数値に責任を負う人は誰でしょうか?
責任範囲が不明確なものは、その業務内容も不明確です。
必ず業務範囲、責任数値を明確にしなければいけません。
そして、その業務と数値に責任をもち、達成していかなければなりません。
5.ルールを定める
法とは法律、つまりルールのことです。ここでは実行手順と捉えてもよいのではないでしょうか?
結局のところ、どれだけ準備を重ね備えても、実行しなければ「絵に描いた餅」。
よくある失敗が「手段が目的化」することです。
最適な打ち手を検討するためにしていたデータ分析のはずなのに、データ分析そのものが目的となってしまい、対策を検討できないという事が往々にしておきます。
それではダメです。
何をするべきなのか、ルールをしっかりと定めて実践していくことが重要です。
勝つための算段を立てる
「まずはやってみる!」では勝率は低いでしょう。
勝つための算段をつけて取り組むのが勝者です。
戦略はあれど戦術がない。そのようなこともなってはいけません。
ビジネスは軍事とは言わなくとも激しい競争です。
そこでいかに、どう勝つかを考え、実行し、成果には繋げていくことが大切です。